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色彩の間

「色彩の間」プロジェクトのコンセプト

日本人は古来から、繊細な感覚で独自の伝統と文化を作り上げてきました。その根底には、豊かな自然や全ての命を慈しみ大切にする心、自分たちも自然の一部であり、その自然によって自分たちは生かされているという意識がありました。季節や気候、天気の変化に対する鋭い観察眼とともに、四季を愛で、自然を楽しむ心の豊かさ。物に溢れた現代社会と異なり、自然の恵みに対する真摯な感謝の気持ちがあったのです。

瓶覗
浅葱
紫紺

日本の伝統的な染め物からは、繊細で美しい色文化が生み出されました。それは色そのものの美しさだけでなく、その色に名づけられた美しい言葉にも表されています。
現代に生きる私たちには、青なら青、赤なら赤、その色が濃いか薄いかといった程度の表現力しか持ち合わせていませんが、日本の伝統的な色文化は、現代では同じ色にまとめられてしまうような微妙な色の違いにも、それぞれ美しい名前を付してきました。例えば青は藍染めの代表的な色ですが、染めの段階で、藍白(あいじろ)、水縹(みずはなだ)、瓶覗(かめのぞき)、浅葱(あさぎ)、縹(はなだ)、藍(あい)、紺(こん)、紫紺(しこん)などと名づけられています。
微妙に違う色に名づけられた名前。それぞれに優雅で美しい名前を見ると、私たち現代人が失ってしまった豊かな感性に驚かざるを得ません。このような美意識と自然に対する畏敬の念は、日本の文化の全てに共通しているものでもあります。

日本の伝統楽器の命もまた、音の色・音色にあります。竹林を吹き抜けてゆく風の音をもって良しとする尺八のように、日本の伝統楽器の音色は日本の豊かな自然の姿や風景を表します。そして季節や自然と一体となったその音楽は、十二分に様々な日本の色を連想させてくれます。
それらは私たちの育まれた気候や風土、そして生活の中から培われてきたものであり、現代の日本人の心の奥底にも内在しているものなのでしょう。

この「色彩の間」の企画は、日本の伝統的な「色」と「言葉」、そして「音」を見つめ直し、私たちの社会が見失ってしまったものを見つめ直そうというものです。
「色」から「音」を想い、また「言葉」から「音」を想う。そして「音」が色彩を放つ心の空間を作り出そうという試みです。

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アプローチ方法

新進気鋭の作曲家、愛澤伯友と平田英雄の両氏が、この企画のために日本の伝統色をテーマとして書き下ろしたオリジナル曲で構成します。色の名前をタイトルとするこれらの曲を、尺八・筝・小鼓(鳴物)という日本の伝統楽器が奏で、音と色の「間(ま・はざま)」の世界を創造します。
演奏は、このプロジェクトの企画・制作者であり、かつ尺八奏者として多彩な活動を展開している田辺洌山氏を中心に、現代邦楽界で脚光を浴びる錚々たるプレーヤーが行ないます。聴く人、観る人は、自身の心の奥底に潜む日本人の美意識をこの演奏から思い起こしていただければ幸いです。

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実施経過

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オリジナル曲

★曲の詳細については、各作曲家の紹介ページに掲載しております。それぞれ作曲者名の右下にある「詳細」をクリックしてください。

愛澤 伯友 作曲

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平田 英雄 作曲

≫詳細

中村 明一 作曲

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